2003.3.23 横浜文化体育館
『YOKOHAMA BIG BANG』
[Jeanne d'Arc](1412-1431)フランスの国民的英雄。東部の小村ドムレミーの農民の娘。百年戦争後期、フランスの解放を神に託されたと信じ、シャルル七世から授かった軍隊を率いてオルレアン城の包囲を解くなどフランスの危機を救った。のちイギリス軍の捕虜となり、宗教裁判で異端の宣告を受けてルーアンで火刑となったが、1920年聖女に加えられた。オルレアンの少女。
 いよいよやってきたJd'のビッグマッチ「YOKOHAMA BIG BANG」去年年末に急遽発表されたこの大会は、Jd'史上最大の作戦と題され、無謀なる挑戦とも言われた。しかし、Jd'の選手達はそんな声もどこ吹く風と文体へと走り続けた。そして向かえた大会当日−。
またも伝説生まれる!!地上8Mでのダイビングセントーン!!
TWF王者はザ・ブラディー!
 筆者の一人称がどこに存在するかがハッキリしないまま以下のように書くのもどうかとは思うが、決して手前味噌ではなく、メタルガレージにて行われた2試合は素晴らしかった。具体的表現は観る者の想像の範疇を狭めるのであえて避けさせて頂が、本当に素晴らしかった。
 
このビッグマッチのメインイベントで行われたTWF世界シングル王者決定戦。2月のトーナメントで優勝した藪下めぐみとザ・ブラディーは一色触発の状態での一ヶ月間を過ごして来た。そしてようやく向かえた当日、先に入場した藪下はいきなり金網天井に登り、ブラディーを待ち構える。続いて入場したブラディーはそれを受けるかのように無言で天井へと登る。当然、両者は既にRED ZONEに突入してしまっているのである。そしてゴングが鳴らされ、試合は開始された。壮絶を超越し、静かに始まったメインイベント。その静寂からビンビン伝わるものを感じたのは私だけではないはずである。嵐の前の静けさ、その静寂な試合が一転したのはラダーが天井に上げられてからである。藪下の掌手をカウント1でブラディーが返せば、ブラディーの裏拳を藪下はカウント1で返す。そしてラダーを使った上空での攻防では、地上で観戦する者の心臓を刺激し、急激に心拍数を上げてくれた。不謹慎かも知れないがそれは「死」をも想像させる程の攻防であった。両者やりすぎという程の攻防である。しかし、これが我々では到達することの出来ないプロレスラーの凄さなのであろうか。プロレスを定義付ける事はしたくないし、プロレスがなんたるかなんていうのは分かりたくない。でも、この両者が凄い事だけはハッキリさせるに十分な一戦であった。この一戦にふさわしいその最後は、天井5m50cmの上に立てられた2m50cmのラダーからのダイビングセントーン!ブラディーが藪下からピンフォールを奪う!
 
試合後、TWFを手にしたブラディーと敗者となった藪下はがっちりと抱き合い両者を讃え合い、自らの師と仰ぐライオネス飛鳥に対しブラディーは「やっとこのベルトを取ることが出来ました」と報告。飛鳥は「お前の力だ」と賞賛した。そのブラディーの顔はたくましく、どこか穏やかで優しくもあった。それはまるであの伝説のフランス女性を思わせた。
これも伝説!!高所恐怖症完全克服!!
KAZUKI、勇気と戦慄の
金網天井シャイニングウィザード!!
 高所恐怖症であるKAZUKI。彼女は天井に登りたくないが為「エスケープルールなし」での金網戦を希望していた。しかし、それが前回北沢大会で一転「完全エスケープルール」となる。それはKAZUKIの同期であるファング鈴木の罵声がきっかけであった。「弱虫」その一言がKAZUKIのプライドに火を付けたのだ。北沢で大流血させられたファングとのシングル。彼女は試合後「完全エスケープルールでも何でもやってやるよ〜!」と叫んでいたのだ。当日、完全防具(ヘルメット、軍手、安全ベルトetc)で試合に挑んだKAZUKIをバカにするかのように堂々と入場してきた金網歴2年のキャリアを持つファング鈴木と阿部幸江。両者はそんなKAZUKIに対しあきれさえしているのである。その試合前から崖ップチに立たされているKAZUKIの唯一の強い味方がこの日のパートナーライオネス飛鳥。しかし、いくら飛鳥がパートナーだとしても、KAZUKIからしてみればこの試合は2対3のハンディキャップに間違いなかった。なぜならそこには5m50cm金網天井という強敵が立ちふさがっていたからだ。試合が始まっても、すぐに自分だけエスケープしようとするKAZUKI。すると「何やってんだ!?」と飛鳥に叱られる。天井に戦いの場を移す時も、ファングが不意に落としてしまったイスで頭を打つKAZUKI。KAZUKIは間違いなく頑張っていた。が、全て裏目裏目に出てしまう。そして、天井に上がってからは一向に戦闘力として機能しなかったKAZUKI。KAZUKIのそんなコンプレックスを克服しようとする姿に観衆はだんだんとKAZUKIを応援し始め、KAZUKIコールを送る。なかなか天井で立ち上がれないKAZUKI。しかし、最後に奇跡が起こる!!
 すでにエスケープしているのは阿部幸江とライオネス飛鳥。飛鳥からKAZUKIはペール缶を受け取りファングを強打する。ファングは天井の上で立て膝をつく。その瞬間「うわ〜〜〜〜!!」絶叫し、立ち上がり拳を握りしめるKAZUKI。そしてファングの頭部めがけペール缶を踏み台にしてのシャイニングウィザード!会場のテンションは最高潮に達した!その隙をつきKAZUKIエスケープ成功!こうして試合終了のゴングが打ち鳴らされた。試合後は「高所恐怖症を克服した私に怖いものは何もな〜い!」とKAZUKI絶叫!めでたし、めでたし。
ジュニアタイトル2本立て!王座防衛劇!!
アストレス2期生卒業式。それぞれの進路。
 この日行われた2つのジュニアタイトル戦。それは全日本ジュニア選手権試合とJd'ジュニア選手権試合。まずはアルシオン高瀬玲奈の持つ全日本ジュニアに挑戦した桜花由美。彼女は「必ずベルトを持って卒業する」と断言していただけに、卒業式である今日はそれを実現させる最後のチャンスとなった。前回の同一カードで善戦した桜花由美。その実力が他団体でも発揮できた事は彼女にとって大きな自信になっていた。しかし全日本ジュニアの壁は高く、敗退してしまう。続いて行われたJd'のジュニア選手権、賀川照子が持つタイトルにこちらも本日卒業が決定している石川美津穂が挑戦。しかし、賀川のジャーマンの前に3カウントを奪われてしまう。試合後、涙を流した石川。なんとそこに東城えみが大向美智子と共に入場。去年の夏、石川・東城は大向美智子と「PLAY GIRL」というユニットを結成し、大暴れした。それが東城の頸椎骨折、石川の眼底骨折により活動停止を余儀なくされてしまったのだ。そして本日一夜の復活!大向は石川とのエキシビジョン3分間を行った。卒業式で、東城は「まだ復帰してないので最後にもう一度試合をしたい」とラストマッチを行う事を宣言し自ら留年を希望。桜花も「今日やってプロレスはやっぱり楽しかったしタイトルが欲しくなった。タイトル取るまでやらせてください。」とプロレス続行を希望。石川のみ「東城が復帰する時には出ます。」と卒業宣言。
 その後打ち鳴らされた7カウントゴング。それぞれが自ら選択した進路。彼女達の卒業は決して終わりでなく、スタートなのである。
そ武藤とTAKAのシングルマッチ!
次回後楽園ではTWFタッグ挑戦決定!!
 文男対女。そんな概念は今になってはもう古いのであろうか。そんな事を思わせる一戦であった。団体のトップを張る男子レスラーであるTAKAみちのく。それに真っ向から勝負していったJd'の武藤裕代。男対女。一体どんな試合になるのか正直心配していた人は少なくないであろう。果たして太刀打ちできるのかー。しかし、試合が始まってみれば武藤は堂々とTAKAみちのくに技を繰り出していたのである。胸元へ打ち込む水平チョップはTAKAの胸を赤く染め上げ、ブレンバスターはしっかりと武藤の力で持ち上げる。しまいにはアルゼンチンでTAKAを絞り上げたのだ。試合前の心配は全く不必要であったのだ。そう、武藤はJd'のトップレスラー達と対等に渡り合える選手なのである。しかも力ではJd'のトップである事は立証済みだ。あの130kgのTSUNAMIをアルゼンチンで担ぎ上げているのである。しかし、最後は団体をも背負うTAKAみちのくの実力。必殺技ジャストフェースロックで武藤からギブアップを奪った。闘い終わった両者は健闘を讃え合った。そして、セミファイナルの金網戦が修了した時、早くも武藤とTAKAは動き出す。KAZUKIが「高所恐怖症を克服した私に怖いものはない!誰でもTWFタッグに挑戦してこ〜い!!」と叫ぶとすかさず2人は入場し挑戦を要求!これにはビックリしたKAZUKIであったが、アベちゃんと相談の上その挑戦を受ける事になり、次回後楽園ホールでの阿部幸江・KAZUKI VS TAKAみちのく、武藤裕代が決定した。TAKAみちのくと武藤裕代。この強敵を相手にWANTED!?はまたしても大ピンチを迎えてしまった。
勝利したK−ヒーロー乱丸。
永友マネージャー奪還成功!しかし・・・。
 突然K−ヒーローを襲った大ピンチは一本の矢文から始まった。その矢文を送った張本人はなんとあのダンプ松本だったのである。そしてダンプ松本は極悪倶楽部というチームを組織しK−ヒーローを襲ったのである。そこで意外な事実が判明する。ダンプいわく「乱丸はもとはヒールレスラー養成所である極悪虎の穴で育った人間、それが4年前にベビーレスラーに転向し裏切りの行いを働いた」と言うものであった。ダンプ総帥はその制裁にやってきたと言うのである。その極悪倶楽部はまずはJd'スタッフである永友マネージャーを誘拐し、乱丸率いるK−ヒーローをおびき寄せる事に成功。そして3.14北沢大会にて行なわれた対K−ヒーロー乱丸・TSUNAMIとのタッグマッチで勝利。横浜文化体育館での全面対抗戦を前にいきなりも優位に立った極悪倶楽部はさらに文体で乱丸のマスクを剥ぐ事を宣言したのである。しかし、結成後早くも半年が経過しているK−ヒーローはこの絶体絶命のピンチを息のあったコンビネーションで乗り切り勝利!永友マネージャー奪還に成功する。しかし、ダンプ松本総帥は試合後レフェリーに暴行を働き、乱丸のマスクに手を掛けるという暴挙に出たのだ!ハサミで流血させられた乱丸のマスクは半分以上引き裂かれ、辛うじて逃げた乱丸であったが、次回後楽園ホールで必ずそのマスク剥ぐ事を宣言されてしまう。乱丸の運命やいかに・・・!
和田優デビュー戦は同期対決!
同期、斎藤啓子との差。
 この日、和田優がデビュー戦を果たした。斎藤啓子と共に去年4月に入門した和田は10月に3度目の試験でプロテスト合格を果たすも、なかなかデビュー戦を行なえなかった。その間、同期斎藤啓子は華々しいデビュー戦を飾り、タッグ戦ながら先輩からフォールを奪うなどの快進撃を果たしていた。そのたくましい同期の活躍をリング下から見ていた和田であったがデビュー戦への強い意志は決して忘れる事はなかった。そして向かえたデビュー戦。対戦相手はなんとこの日、小粂を破り名乗りをあげた同期斎藤啓子。相手にとってこれ以上ないシュチュエーションが整ったのである。試合は斎藤が勝利するも、お互い一歩も引けを取らない気持ちのぶつかり合いは、会場をヒートさせるのには充分な程であった。これからしばらく和田の課題は、良くも悪くも斎藤啓子との差と言う事になるのであろうか。
オープニングプロフェッショナルズ!
おばっち飯塚VS広田さくら
 「禁断の一戦!世紀の一戦!」と題されたおばっち飯塚VS広田さくら。期待されつつ実現しなかったカードが遂に「YOKOHAMA BIG BANG」にて実現!そしてゴールデンオープニングマッチとして行なわれたのである。記者会見から舌戦繰り広げられたこの戦いは、勝敗と言うよりもどれだけ相手を笑わせ、どちらがどれだけ会場を笑いの渦に巻き込むかの勝負に重きを置かれた一戦であった。入場から試合・退場まで充分に数々のネタを披露した両者はまさにプロフェッショナルである。興行の第一試合という重責。しかもビックマッチとなればそれは何倍にもなる。そんなプレッシャーを感じていたのか、いないのか、おばっちと広田はいとも簡単に自らの持つ「セルフワールド」に観客を引き込み、会場を沸かせた。
 この「YOKOHAMA BIG BANG」は決してゴールではない。それは今日この場で闘った選手、そしてそれを目の当たりにしたファンがいる限り戦いは続いていくのである。いよいよJd'7周年。Jd'の今後に期待して下さい!!